クレジットカード決済を店舗に導入しようとした時に、
役務提供の業種は、導入が難しい
そんな話を耳にすることがあるかもしれません。
「役務提供」とは何でしょう?
普段の生活で、あまり使わない言葉です。
しかし、クレジットカード決済の導入を検討中なら、業種によっては事前に知っておかないと、思わぬ失敗につながる可能性もあります。
このページでは、
- 役務提供とは?
- 役務のクレカ決済導入が難しい理由
- 特定継続的役務とは?
- 役務でも導入できるクレジットカード決済は?
以上について解説します。
目次
役務提供とは
役務提供とは、要は、サービスを提供することです。
例えば、クリーニングや美容院なども、サービスを提供しているので、役務提供にあたります。
物品を売るのではなく、サービスを提供して対価を得る業種が、役務提供にあたります。
その役務提供の中でも、クレジットカード決済で問題になるのは、複数回にわたって役務提供を行ったり、継続的に行う業種です。
例えば、クリーニングや理髪店は、1回ごとに支払いがあり、そこでサービス提供が完了します。
なので、役務だからという理由で、クレジットカード決済導入の難易度が上がることはないと思います。
とは言うものの、クレジットカードの審査基準の詳細は開示されていませんので、もしかしたら、1回完了の役務でも、物品販売よりは、多少、審査の難易度があがることがあるかもしれませんが、そこまで大きい影響はないと思われます。
一方、継続的な役務提供は、利用規約で使用を制限しているところもあり、審査の難易度に影響します。
具体的な業種としては、例えば、家庭教師や学習塾・エステなどの、複数回分をまとめて前払いするような形をとる役務提供です。
役務の業種におすすめ!
役務提供のクレジットカード審査が厳しい理由
なぜ、複数回分をまとめて前払いする役務は、審査が厳しいのでしょうか?
それは、他の業種に比べて、クレームやトラブルが起こりやすいサービスの特性が関係しています。
塾やエステのような業種は、性質上、受けてみないと効果が分からず、目的が達成できるか確実ではありません。
そのため、長期にわたる契約で、中途解約や、支払いに関するトラブルが起こりやすい側面があります。
解約に伴う不払いのリスクがあったり、長期契約途中の店舗の倒産による返金請求の可能性もあります。
このため、クレジットカード会社は、長期・継続的役務の業種については厳しく審査を行い、トラブルのリスクが高いと判断した店舗は導入を見送っています。
特定継続的役務とは
長期・継続的な役務提供の中でも、トラブルが起こりやすい高額な対価を要する7つの役務は、「特定継続的役務提供」の対象となり、契約内容の明示や中途解約を、特定商取引に関する法律にのっとった形で行うように、規制が設けられています。
特定継続的役務の対象となる業種
- エステティック
- 美容医療
- 語学教育
- 学習塾
- 家庭教師
- パソコン教室
- 結婚相手紹介サービス
以上の業種で、政令で業種ごとに定められた金額や期間を超えるものが「特定継続的役務提供」にあたります。
これらのサービスは、身体の美化、知識・技能の向上などを目的としていますが、その実現が確実でないという特徴があります。
料金が高いのに、目的が達せられないこともあるので、「特定商取引に関する法律」ではトラブルを防ぐために、役務ごとに、金額や期間があてはまるものについては、規制やクーリングオフ制度を設けています。
クレジットカード業界でも、特定継続的役務は審査が厳しく、使用を認めないクレジットカード会社も少なくありません。
特定継続的役務は一定の期間と金額を超えるもの
特定継続的役務の対象とされている7つの役務のうち、以下の期間と金額を超えるものが「特定継続的役務」です。
特定継続的役務 | 期間 | 金額 |
---|---|---|
いわゆるエステティック 人の皮膚を清潔にしもしくは美化し、体型を整え、または体重を減ずるための施術を行うこと (いわゆる美容医療に該当するものを除く) | 1月を 超えるもの | いずれも5万円を 超えるもの |
いわゆる美容医療 人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、体重を減じ、又は歯牙を漂白するための医学的処置、手術及びその他の治療を行うこと(美容を目的とするものであって、主務省令で定める方法によるものに限る) | 1月を 超えるもの | |
いわゆる語学教室 語学の教授(入学試験に備えるためまたは大学以外の学校における教育の補習のための学力の教授に該当するものを除く) | 2月を 超えるもの | |
いわゆる家庭教師 学校(小学校および幼稚園を除く)の入学試験に備えるためまたは学校教育(大学および幼稚園を除く)の補習のための学力の教授(いわゆる学習塾以外の場所において提供されるものに限る) | 2月を 超えるもの | |
いわゆる学習塾 入学試験に備えるためまたは学校教育の補習のための学校(大学および幼稚園を除く)の児童、 生徒または学生を対象とした学力の教授 (役務提供事業者の事業所その他の役務提供事業者が当該役務提供のために用意する場所において提供されるものに限る) | 2月を 超えるもの | |
いわゆるパソコン教室 電子計算機またはワードプロセッサーの操作に関する知識または技術の教授 | 2月を 超えるもの | |
いわゆる結婚相手紹介サービス 結婚を希望する者への異性の紹介 | 2月を 超えるもの |
(※1)「家庭教師」および「学習塾」には、小学校または幼稚園に入学するためのいわゆる「お受験」対策は含まれません。
「学習塾」には、浪人生のみを対象にした役務(コース)は対象になりません(高校生と浪人生が両方含まれるコースは全体として対象になります)。
(※2)入学金、受講料、教材費、関連商品の販売など、契約金の総額が5万円を超えていると対象になります。
(※3)役務の内容がファックスや電話、インターネット、郵便等を用いて行われる場合も広く含まれます。
これらの期間や期限を超える特定継続的役務提供は、クレジットカード会社の規約で禁止されてていることがほとんどです。
しかし、決済会社によっては、上記のような業種の継続的役務でも期間や金額が一定以内であれば、決済可能としています。
役務提供のクレカ決済導入の審査の難易度は?
とは言っても、継続的役務の業種でも、導入できるクレジットカード決済もあります。
また、特定継続的役務の対象とされる業種以外の長期・継続的役務(例えば、マッサージや整体・ネイルなどのコースや回数券で利用する役務)でも、審査に通るところと、審査に落ちるところがあります。
モバイル決済各社の難易度を図に表すと、こんな感じです。
各社の役務提供に関する利用規約は、どのようになっているのでしょうか。
それぞれ、具体的に確認していきましょう。
【楽天ペイ】事前決済・継続的役務の前払い・まとめ払いはNG(都度決済なら可)
楽天ペイも、利用規約で、継続的な役務提供の決済に使用することは、禁止しています。
禁止取引として、下記のように記載があります。
商品等の引渡し若しくは役務提供を複数回に渡り又は継続的に行う取引(特定商取引に関する法律に定義する「特定継続的役務提供」を含むが、これに限られない。)
特定継続的役務もNGです。
ただし、楽天ペイの「よくある質問」のページを見てみると、「継続的なサービスは、都度決済で」と記載されています。
サービス提供完了前の決済(前払い)は禁止されています。必ずサービス提供後の決済で、ご利用ください。複数回にわたる継続的なサービス提供の場合は、提供完了ごとに都度決済をしてください。
前払い・まとめ払いはNGですが、複数回にわたる継続的なサービスも、都度決済であれば、基本的にはOKです。
詳しくは公式サイトの「よくある質問」をご確認ください。
【STORES 決済】事前決済・継続的役務の前払いはNG(都度決済・サービス完了後なら可)
STORES 決済 は、利用規約で継続的な役務提供の取引は禁止となっています。
以前は、VISA / MASTER / SAISONCARDは、一定の金額や期間を超えなければOKだったのですが、現在は、サービス内容や金額に関わらず、役務提供が複数回又は継続的に行われる取引に対する前払いは禁止に変更になりました。
サービス提供完了後の決済であれば規制していないので、複数回のサービス提供完了後にまとめて払うのは問題ありません。
また、STORES 決済 のオンラインサイトのサービスガイドには、「取扱ブランドと審査確認事項一覧」が載っているページがあり、業種別の使用できるカードブランドがに明示されています。
STORES 決済 の公式サイトの「ガイド・ヘルプ」リンクから取扱ブランドが確認できます。
【Airペイ】継続的役務・事前決済は条件付きでOK
Airペイは、以前は、金額や期間に関わらず、複数回の取引の事前決済を禁止していました。しかし、2022年7月1日に条件付きで決済可能になり、2022年11月1日に、さらに決済できる取引の条件が緩和されています。
継続的に複数回取引を行う回数券やコース代金は、サービスの提供完了までに1年を超えないものであれば決済可能です。
また、中途解約により商品引き渡しまたはサービス提供が行われていない分については返金し、サービス提供前に解約された時は取引代金を全額取消しを行うことを中途解約時の返金規定として契約内容に明記することが条件となっています。
詳しくは「Airペイ加盟店規約」をご確認ください。
Airペイ公式サイトのページの一番下の方に、加盟店規約へのリンクがあります。
【Square】期間や金額の条件クリアで使用可
Squareも、継続的役務でカード決済する場合には、期間や金額の上限があり、使用できるカードブランドが限定されています。
期間は業種によって、下記のように定められています。
STORES 決済 は5万円以上はNGでしたが、Squareは、期間が短い場合は5万円以上でもカードブランドによっては決済できます。
<Square の継続的役務の決済可否>
注意点など詳細は、下記のSquare公式サイトでご確認下さい。
丈夫メニューの「料金・導入」→「サポートへの問い合わせ」より、検索窓に『回数券・継続的役務:Squareにおけるカード決済のご利用制限について』と入れて検索すると、解説ページが出てきます。
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利用規約の確認は忘れずに
以上、役務提供や前払いに関する利用規約をご紹介しました。
ただ、加盟店審査は、役務がどうかだけでなく、他の要素も含めて総合的に行われます。
利用規約でどんな事柄が禁止取引となっているのか、申込前に確認をしておくことをおすすめします。
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