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中堅・中小企業向けERP導入ガイド|失敗しない発注のポイントと選び方

中小・中堅企業が抱える発注の課題

「どの会社を選べばよいか分からない」「予算内で本当に必要な機能を実現できるのか」「発注後のトラブルを避けるには?」──中小・中堅企業の多くが抱えるこうした悩み。

ERP導入は企業の基幹システムを根本から変える大きなプロジェクトです。だからこそ、発注先選定で失敗すると事業に深刻な影響を与えかねません。まずは、多くの企業が直面する共通の課題を整理してみましょう。

よくある3つの困りごと

発注準備の知見不足

  • 何を依頼すべきか要件が不明確
  • 適正な予算感が分からない
  • 比較検討のポイントが不明

これは本当によくある話です。「とりあえずERPを導入したい」という漠然とした思いはあっても、具体的に何をシステムに求めるのか、どれくらいの予算が必要なのかが見えない状態です。

業者選定の情報不足

  • 自社に最適なコンサル会社が分からない
  • ERPベンダーの違いが理解できない
  • 企業規模別の適用製品が判断困難

IT業界の情報は専門用語が多く、外部の人には分かりにくいのが実情です。

「SAP」「Oracle」といった名前は聞いたことがあっても、実際に自社にどれが合うのかは判断が難しいものです。

発注後のリスク

  • 想定外の追加費用発生
  • 大幅な導入期間延長
  • 期待する効果が得られない

これが一番怖いパターンです。「話が違う」「こんなはずじゃなかった」という事態を避けるためにも、事前の準備が重要になります。

 

成功の鍵:RFP(提案依頼書)の活用

こうした課題を解決するために欠かせないのが、RFP(Request for Proposal:提案依頼書)の作成です。

「面倒な書類作成か・・・」と思われるかもしれませんが、これが成功と失敗の分かれ道になります。

 

RFPが必要な理由

  1. 公平な比較検討:同じ条件で各社から提案を受けて正確な比較が可能
  2. 要件の明確化:発注者自身が要求事項を整理し、認識齟齬を防止
  3. リスク軽減:詳細な条件提示により、予算超過・納期遅延を防止

RFPを作らずに複数社に相談すると、A社は「在庫管理重視」、B社は「会計処理重視」といった具合に、各社が勝手に前提条件を決めて提案してきます。これでは正しい判断ができません。

RFPに必須の記載項目

■ プロジェクト背景・目的

  • 現在の課題と解決したい問題
  • システム導入により期待する効果
  • プロジェクトの優先順位

まずは「なぜERPを導入するのか」を明確にしましょう。「他社も導入しているから」ではなく、自社の具体的な課題を整理することが大切です。

■ 機能要件

  • 必須機能と希望機能の明確な区分
  • 想定する利用者数・データ量
  • 他システムとの連携要件

「あったらいいな」と「絶対に必要」をきちんと分けて書くことがポイントです。すべて「必須」にしてしまうと、予算が膨らんで収拾がつかなくなります。

■ 非機能要件

  • 性能要件(レスポンス時間、同時接続数等)
  • セキュリティ要件
  • 可用性・保守性要件

機能以外の「システムの品質」に関する要件です。「速く動く」「安全」「壊れにくい」といった、当たり前のように思える部分こそ、具体的な数値で示すことが重要です。

■ プロジェクト条件

  • 予算の上限額
  • 希望スケジュール
  • 体制・役割分担
  • 検収条件

予算を隠す企業もありますが、上限を示した方が現実的な提案を受けられます。「青天井」だと思われると、不要な機能まで盛り込まれてしまうリスクがあります。

RFP作成時の注意点

  • 具体的で測定可能な記載:「高速な処理」→「検索結果表示まで3秒以内」
  • 技術的制約の明記:既存システム連携、インフラ環境、セキュリティポリシー
  • 評価基準の事前提示:技術力、価格、実績のどれを重視するかを明示

「使いやすいシステム」「高性能なシステム」といった抽象的な表現は避けましょう。人によって「使いやすい」の定義は異なります。できるだけ数値で表現できる基準を設けることが、後々のトラブル防止につながります。

 

ERPベンダー・コンサル会社の選び方

RFPができたら、次はいよいよ発注先選定です。「どこも同じようなことを言っている」と感じるかもしれませんが、実は各社には明確な特徴があります。

大手ERPベンダーの特徴

ベンダー適用企業規模導入相場特徴
SAP売上100億円以上5,000万円~3億円大企業実績豊富、国際会計基準対応
Oracle ERP Cloud売上50億円以上3,000万円~2億円クラウドネイティブ、AI機能内蔵
中小企業向けERP売上10億円~100億円500万円~5,000万円弥生会計、勘定奉行、SAP Business One等

SAPは「ERP界のロールスロイス」とも呼ばれる高機能・高価格の製品です。

一方、中小企業向けERPは機能を絞り込んでコストを抑えた製品が中心。自社の規模と予算に見合った選択が重要です。

「有名だから」「安いから」だけで選ぶのではなく、自社の業務に必要な機能がきちんと備わっているかを確認しましょう。

 

コンサルティング会社の活用

自社にあった発注先を決定するために、ERP選定の専門コンサルタントに相談される企業も増えています。

専門家によるサポートを受けることで、

  • 豊富な導入実績に基づく客観的なアドバイス
  • 自社の業界・規模に特化した最適な提案
  • ベンダー選定から導入まで一貫したサポート
  • 導入後の運用フォローまで含めた総合的な支援

が期待できます。

 

コンサルティング会社の選定基準

1. 実績・専門性

  • 自社業界での導入実績
  • 同規模企業での成功事例
  • 認定資格者の在籍状況

「導入実績100件以上」と言われても、すべて大手企業の実績では参考になりません。自社と似た規模・業界での成功事例があるかどうかが重要なポイントです。

2. 提案力・企画力

  • 現状分析の深さ
  • 課題解決策の妥当性
  • ROI算出の精度

優秀なコンサルタントは、こちらが気づいていない課題まで指摘してくれます。「言われたことをやるだけ」ではなく、「より良い解決策を提案してくれる」パートナーを選びましょう。

3. サポート体制

  • 導入後のサポート範囲
  • 障害対応の体制
  • ユーザー教育の充実度

ERPは導入して終わりではありません。むしろ、導入後の運用が本番です。「システムが動かない」「使い方がわからない」といった時に、迅速に対応してくれる体制があるかどうかは必ず確認しましょう。

 

コンサル選定に迷ったら・・・ERP選定支援サービスもあり

ERPシステムの構築や導入を直接行うのではなく、適切なERPコンサル会社やシステム会社を紹介するサービスもあります。

企業がERPシステムを導入する際、適切なコンサルティング会社やシステム会社を選定することは重要な課題の一つですが、多くの企業が「どの会社に相談すべきか」「費用相場はどの程度なのか」といった疑問を抱えています。

こうした課題に対応するサービスとして、「ERP・基幹システム研究所」があります。ERP導入を検討している企業に対して、適切なパートナー企業を紹介するサービスを提供しています。

主な特徴

1. パートナー企業の紹介 ERPの構想策定から構築まで支援できるコンサル会社やシステム会社を厳選し、企業の要件に応じて紹介しています。

2. 利用条件 サービスは完全無料で利用でき、会員登録も不要です。発注の確約を求められることもありません。

3. 情報提供 類似の導入事例や費用相場など、具体的な情報を提供しており、事前に予算感や導入期間を把握することができます。

4. 営業対応 しつこい営業活動は行わず、純粋にマッチングサポートに徹しているとのことです。

 

サービスの位置づけ

ERP・基幹システム研究所は、ERPシステムの構築や導入を直接行うのではなく、適切なパートナー企業とのマッチングを支援する仲介的な役割を担っています。従来のERPコンサルティング会社とは異なるアプローチで、企業のパートナー選びをサポートするサービスです。

ERP導入を検討している企業にとって、パートナー選びの選択肢の一つとして知っておくと良いサービスといえるでしょう。

何から相談すればよいか分からない、まずはトレンドや費用相場などの初期的な情報収集を効率的に行いたいといった方も、余計な営業なし、発注確約なしで利用できるので、相談してみるメリットはあるはずです。

十分な情報収集と検討を行い、必要に応じて専門家のサポートも活用しながら、自社に最適なシステムを選択してください。

 

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発注前の比較検討ポイント

複数社から提案を受けた後は、いよいよ比較検討です。「価格が安い方がいい」と思いがちですが、実はそれだけでは判断できません。

1. 総保有コスト(TCO)での比較

初期費用だけでなく、5年間の維持費用も含めた総額で比較検討することが重要。

「初期費用が安い」と思っても、年間の保守費用が高ければ、長期的には割高になることがあります。特にクラウド型ERPは月額課金なので、5年、10年という長期スパンで計算してみましょう。

2. 機能要件の充足度

会計管理、販売管理、在庫管理、生産管理、分析機能など、各機能の必須要件を各社がクリアしているかを確認。

RFPで「必須」とした機能について、各社がどの程度対応できるかを○×で整理してみると分かりやすいです。「カスタマイズで対応可能」と言われた場合は、追加費用がかかることも忘れずに。

3. 非機能要件の確認

  • 性能・可用性:応答時間3秒以内、稼働率99.9%以上
  • セキュリティ:ISO27001認証、暗号化通信
  • 拡張性:ユーザー数拡張、機能追加対応

地味に見えますが、実は非常に重要なポイントです。「システムが遅い」「よく止まる」「セキュリティが心配」といった問題は、日々の業務に大きなストレスを与えます。

企業規模別の導入予算目安

「いったいどれくらいの予算を見込んでおけばいいのか」──これは多くの企業が悩むポイントです。参考までに、企業規模別の一般的な相場をご紹介します。

売上規模従業員数導入予算目安導入期間
10億円~30億円50名~100名500万円~2,000万円6ヶ月~12ヶ月
30億円~100億円100名~300名2,000万円~5,000万円12ヶ月~18ヶ月
100億円~300億円300名~1,000名5,000万円~1億円18ヶ月~24ヶ月
300億円以上1,000名以上1億円~3億円24ヶ月~36ヶ月

これはあくまで目安です。業界の特性や求める機能レベルによって大きく変わります。製造業で複雑な生産管理が必要な場合や、多拠点展開している企業では、上記よりも高額になることが多いです。

導入期間も重要なポイントです。「半年で導入したい」という希望があっても、システムの複雑さや社内の準備状況によっては現実的でない場合があります。

発注契約で注意すべき点

発注先が決まったら、いよいよ契約です。「信頼関係があるから大丈夫」と思わず、重要なポイントはしっかりと文書で確認しましょう。

責任分界点の明確化

  • 発注者側:要件定義への参画、テストデータ提供、ユーザー教育受講
  • 受注者側:システム設計・開発、品質保証、導入支援

「言った、言わない」のトラブルを避けるため、「誰が何をやるのか」を明確に決めておくことが大切です。特に、データ移行や既存システムとの連携作業は、責任の所在が曖昧になりがちな部分です。

変更管理のルール

変更要求→影響度評価→変更承認→作業実施→結果確認の明確なプロセス設定

プロジェクトが進むと「やっぱりこの機能も追加したい」「画面の色を変えたい」といった変更要求が出てくるものです。小さな変更でも、積み重なると大きな工数になります。変更のルールを最初に決めておくことで、後々のトラブルを防げます。

成功するERP発注のポイントまとめ

ERP導入は「一発勝負」の大きなプロジェクトです。失敗すると業務に大きな支障をきたし、莫大な追加コストがかかる可能性があります。

  1. 現状分析と課題の明確化:定量的な目標設定と制約条件の整理
  2. 適切な発注先選定:業界特化の実績確認と技術力・提案力の評価
  3. 専門家の活用:中立的な立場での比較検討と成功事例の活用

「急がば回れ」という言葉があるように、事前の準備にしっかりと時間をかけることが、結果的に成功への近道になります。

特に中小・中堅企業の場合、ERP導入は「人生に一度あるかないか」の大プロジェクトです。限られたリソースを有効活用するためにも、RFPの作成と専門的なアドバイスを活用して、自社に最適なパートナーを見つけることが重要です。

 

 

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